ブックタイトルkaigaitankentai_10_shuusei
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26今回、私は水産資源の有効活用を目指すPELAGIA とBIOMEGA を訪問しました。両社では、byproducts と呼ばれる魚の頭や骨、皮を利用した副産物の生産を行っていました。ノルウェーの企業がbyproducts を製造する理由として、限られた資源を有効活用できること、世界的な健康ブームによって機能性成分の需要が高まっており、魚や動物の飼料よりもヒトへの利用のほうが高価であること、人口増加による世界的なタンパク質の需要が高まっていることなどが挙げられます。また、原材料の鮮度が品質に影響するため、加工後すぐにbyproducts への加工が可能な工場では、高品質なbyproducts の生産が可能です。また、工場も訪問しましたが、どちらの企業も機械化がすすんでおり、PELAGIA では1 分間に150匹処理が可能なフィレッティングマシーンがありました。以前日本の水産加工企業を訪問した際に、フィレッティングマシーンの不良品の多さが問題となっていましたが、PELAGIAでは、それらの不良品もbyproducts として利用するため、それほど問題視されていません。BIOMEGA では、モニター室で工場全体が管理されており、製品の入っているタンクの温度、内容量、水分などの確認、変更が全て1 つの場所で可能です。日本では、魚の皮や頭、骨は、廃棄物だという印象が強く、byproducts という言葉に対応する言葉を見つけることが難しいです。しかし、ノルウェーの水産加工現場では、こうした部位にも価値があり、利益を生み出せるという共通認識があります。このような意識を多くの人が持つことで、より新しい方法が見つかるのではと考えます。また、日本では魚種が多いため、未利用資源の利用というと食利用されていない魚種の有効利用が注目されますが、ノルウェーでは、すでに存在しているもののさらなる活用に注力していました。しかし、価値の低いものに対して付加価値を与える視点は日本と同様でした。こうした資源の活用方法は、様々な工夫やアイデア次第で世界を大きく変える面白い分野であると感じており、私も将来携わりたいと考えているため、今後も学びを続けていきたいです。中村柚咲BIOMEGA / PELAGIA