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概要

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327 月20 日午後、私たちは台北市にある玉蘭莊を訪れました。玉蘭荘とは、日本統治などを機に、本土から台湾へ移り住んだ方々や、日本語教育を受けて育った方々が交流する活動センターです。現在、会員の方々の平均年齢は、80 歳を超えています。ここでのコミュニケーションには日本語が用いられます。私たちメンバーは、一緒にゲームを楽しんだり、童謡を合唱したり、お茶菓子を頂きながら歓談したりして親睦を深めました。およそ90 分間の滞在でしたが、ここが台湾であることを忘れてしまうような、日本文化にあふれた空気が、台北のビルの一室に広がっていました。玉蘭荘の方々と語り合えることは、とても光栄なことです。お話のなかには、日本語でしか表現できない、伝えられない想いがあると思います。それらを日本から訪れた私たちこそが受けとめられ、次の学びと成長につなげられることが本当に幸せで、誇らしいです。玉蘭荘の方々は、日本の情勢に関心が高いだけでなく、日本の多種多様な話題に含蓄が深くいらっしゃいます。ウナギの資源枯渇と流通の諸問題や、近畿大学のマグロ養殖など、私が水産を学んでいると聞くと、目をひく話題を次々出してくださりました。ずっと昔に学んだ教育勅語の暗唱も披露してくださり、社会科の教科書でしか学んでこなかった日本統治の歴史を、リアルに感じる機会もありました。以前に台湾を訪れた際に、大湖公園がいちばん印象に残ったと私が話すと、「それならぜひ訪れてほしい名所がある」と、日月潭の写真を見せて紹介してくださりました。そして、その美しい水面と、草木が薫るすがすがしい風の魅力について、興味深いお話を聞かせてくださいました。今夏のプログラムではスケジュールの都合上、訪れる機会が持てませんでしたが、私にとって台湾は、何度でも足を運びたい地です。次に訪れる際には、ぜひともその時間をとるつもりです。お年を召されていながらも、はつらつと元気にあふれる姿勢に後押しされ、積極的な未来志向の姿勢がとれるようになりました。この時代に生まれ、この地を訪れ、お年寄りと若者という立場で出会えたこの巡り合わせを大切にして、思い出を胸に刻みたいです。そして、学生としての務めに打ち込み、人生の先輩方の期待に応えられる活動に励みたいと思います。渡邊博文玉蘭荘