ブックタイトルkaigaitankentai_13
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kaigaitankentai_13
40セルマックの海上養殖施設にて撮った写真です。松島大士Cermaq当企業は、サーモンの養殖を行っている会社で、世界第3位の生産量を誇っています。また、世界各地に生産拠点を持ち、稚魚から成魚までの生産管理を一気通貫で行っていることを強みとしています。私は本研修から①サーモン養殖の環境づくり②サステナビリティ意識 ③新しい働き方 の3点を学ぶことができました。まず、全3 日間における研修を通して、サーモンが卵から商品になるまでの一連の工程を学ぶことができました。例えば、サーモンは孵化後、約14 か月を淡水環境下で過ごしますが、その工程では、年間約1220 万匹の稚魚が養殖されているとのことでした。ここではタンク内で病気などが蔓延しないように、施設全体を2つに分けたり、湖の天然水を利用するなど、できる限り稚魚への負担を減らすような取り組みを学ぶことができました。これらの学びは流通の観点でも活用できると感じ、いかに製品に負担がないように運ぶかを考えることを意識する良い機会となりました。次に、ノルウェーが持つサステナビリティの意識についてです。国連が定める指標のひとつに、「海の豊かさを守ろう」というものがあります。これは海洋資源を持続可能な形で提供することを意味しています。実際Cermaq では、1匹のサーモンを養殖するのに必要な水の量が900 リットルと言われています。一方、養殖途中で病気やその他の外因で死んでしまうサーモンも多くいます。こういった課題に対して、Cermaq は年間でサーモンの死亡率を5.5%以下に抑えることに成功しています。現在、機械で魚の様子を知ることができるシステムの構築や新たな餌の開発にも取り組んでおり、更なる持続可能性への取り組みに対する意識を強く感じることができました。また、物流においてもカーボンフットプリントのようにCO2 排出量を見える化することができます。これを機会に、自分の身近なものの値を調べてみて環境への意識を高めていきたいと思うようになりました。最後は、働き方についてです。Cermaq はノルウェー国内に多くの生産拠点を所有しています。特に、養殖ということもあり、自然豊かな地域が多いです。また、アルチザン*気質な人物が多く、サーモンの検品ではその道15 年の人物が作業を担当していました。一方で、機械化されている仕事が多いということもCermaq の特徴になります。実際、サーモンの身を割き、身の状態を見るという工程は、既に機械で自動化されていました。人の手と機械の手が上手に融合し、必要な個所に最小限の人物を配置するというのがCermaq、ひいてはノルウェーの働き方であることを学びました。私はIT 企業に就職しますので、こういった最適化の例には大変興味がありますし、今後、人口減少が進んでいく日本ではこうした事例は大変参考になるものでした。*アルチザン:熟練した職人、工匠