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概要

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22・印象的だったこと、北アイルランドのベルファストにある平和の壁ベルファストのような宗教対立の紛争地を訪れることは初でした。天気が良くなかったこともありますが、町の印象は暗くて重く、綺麗ではない所というものでした。特に平和の壁は、宗教は信者にとってよりどころであり、宗教問題は簡単には片付けることの出来ない非常に難しいものであることを、宗教に疎い私に感じさせるものでした。カトリックとプロテスタント地区を分断するために作られた平和の壁の上にはフェンスが取り付けられていて、合わせると10メートル程のとても高い仕切りとなっていました。それ以外にも家々を囲う背の高いフェンスや塀、有刺鉄線がとても衝撃的でした。今でもプロテスタントとカトリックの小競り合いがあり、互いの身の安全を確保するために必要だということでした。壁には両者の居住区を行き来できるゲートがあり、その開放時間が決められていることも衝撃的でした。平和の壁周辺は閑散としており、人通りはほとんどありませんでした。また北アイルランド紛争の犠牲者を称える記念碑や民族問題に関する壁画も町中にいくつもありました。隔たりがないと安心して暮らせない、いつ争いが起こるか分からないといった緊張感と常に隣り合わせである場所、紛争跡であることを感じさせる様々な物を目の当たりにし、宗教や領土問題について色々と考えさせられる良い経験となりました。宗教の勧誘をされたこともあり、このベルファストは忘れることの出来ない場所となりました。・何といってもコロナウイルスの影響を受けた留学3月12 日の18 時をもって私たちの留学先であるDCU が閉鎖される、とその日の午後に突然知らされました。DCU も閉鎖される可能性が高いという話をホストファミリーと前日にしていたのですが、まさかこんなにも早く学校に行けなくなるとは思いもしませんでした。たった2 週間で帰国…まだまだDCU で授業を受けたかった、アイルランドを探索したかった、ホストファミリーともっと関係を深めたかった…など様々な思いを抱えながらも、自分たちの安全を考えて帰国が賢明であると判断し、16 日の朝にアイルランドを旅立ちました。これまでの海外探検隊を通して、英語学習、研究などの将来の先取りの機会を得ただけではなく、「グローバル」が自分の中でより定まりました。グローバル資質には、自身の価値観や視点に捉われずに相手を受け入れる寛容さ、新しいものを吸収し自分のものにしていける力が欠かせないと思います。そして何よりも大切なのは、いかなる状況でも身の安全を第一に考えることです。海外の授業で感じたことは、周りに流されずに個を確立するには自分の意見をきちんと持つだけでなく、それを発言できる積極的な姿勢や勇気が重要であることです。ヨーロッパで日本と異なる様々な経験をし、自分の世界がより広がりました。また刻一刻と変わる状況を肌で感じられたことも今回の貴重な経験の一つです。コロナに怯えていた私に、ホストマザーがかけてくれた心温まる優しい言葉、可愛い子供たちと遊んだ思い出、アイルランドでの生活、DCU での英語の授業、観光、そして何よりも、2 週間色々な話をし、共に過ごしてきたアイルランド隊の仲間、ここで得たものを忘れずに更に成?していきたいと思います。海外探検隊報告書山﨑美波