ブックタイトルkaigaitankentai_14
- ページ
- 32/64
このページは kaigaitankentai_14 の電子ブックに掲載されている32ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは kaigaitankentai_14 の電子ブックに掲載されている32ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
kaigaitankentai_14
30成田空港に着陸し、検疫を終え、税関を通ることができた時、心の底から帰国できて良かったと思いました。いつも帰国できて良かったと思うのですが、今回は特に強く感じました。理由は今世界で感染が拡大しつつある新型コロナウイルスの影響です。19 日に帰国できたこと、自分が成田にいることが有難く、日本、ノルウェー両方の力をお借りして無事に帰国できたと実感しています。お世話になった皆さんに感謝致します。今回は運よく帰って来られましたが、これが個人留学や個人旅行だったら、多分帰って来られなかったでしょう。私達はノルウェーで情報に振り回され、波乱万丈の末帰国を遂げました。ノルウェーでは通常の海外探検隊のプログラムはほとんど出来ず、本来目標としていたものは得られませんでしたが、それでも滅多に経験することのできない貴重な経験をし、別の意味で海外を探検してきたと思います。今回最も印象に残った出来事はやはり、ノルウェーから出国できなくなる危機に陥ったことです。こうなってしまった原因は、得られる情報が遅かったこと、どの情報が正しいのか判断しにくかったこと、情報が目まぐるしく変わったこと、それにより計画を変更する必要があったことではないでしょうか。例えば日本では法や措置が施行される時には前もって発表される為、施行日まで猶予があります。そのため手段を考え、手を打つ時間があるのですが、ノルウェーにいる間、得られる情報は日本国大使館からだけでした。その情報も施行される直前に伝えられることもあり、私たちはそのスピード感についていけず、またノルウェーの風習や考え、文化を知らずにいたため、どう情報を処理すればよいか分らず、次の行動の決定ができませんでした。そのため素早い決断が出来ず、一時出国できなくなることに繋がりました。出国するため、私たちは、大学、大使館、ホテル、寮など沢山の人に助けを求め、支援してもらいました。日本・ノルウェーの両国に動いてもらったことにより、私たちは帰国することができました。私たちは法や規制により縛られましたが、助けてもらったのは法ではなく人、さらに言えば人と人との繋がりでした。人が人を助けるのだと感じました。いつも何気なく生きていますが、私の気が付かないところで、沢山の支えによって生活ができて生かされていると感じ反省しました。スマホやサービスが多様化し個が強調されている現代は、一見、一人で情報を集め、その場に人がいなくてもネットを通じてコミュニケーションを取れるため、一人で生きていけるように見えることもあります。しかしやはり人を助けたり支えたりできるのは人ではないかと思います。人を助け、助けられるためには日々会話をしたり、連絡を取り合うなどして繋がる機会がなければできないと思います。私は最近SNS に向かう時間が増えたと感じていることに加えて、もともと会話が得意ではないたちです。そのため他の人以上に努力しそれを意識していかなければと、今回の経験から身をもって感じ、反省しました。ノルウェーから出国できないと知った時、皆ショックだったと思います。私はミッションを達成できなかった気がして泣きそうになったことがありました。でもノルウェー出国までに私達メンバーは、落ち込むどころか楽しむことにし、ある人は待機生活の楽しみの一つであった食事を沢山作り、ある人はダンスを踊ることを企画してくれたり、漫画を描いてくれたりしました。急遽ノルウェー隊の一員になった小松先生をサポートする方法も皆で色々考え、(電話や写真を送るなど)また、キャンセルするホテルに英語で電話をかけるなど、出国を試みると同時に各々考え、ノルウェー隊をより良い方向に進めてくれました。私はリーダーでしたが、これといった事ができたわけではありませんでした。不安定な状況下でノルウェー隊が楽しく過ごせたのはメンバーの皆さんのおかげだと思います。大変な状況に置かれたとき、心を切り替え前向きに進む力はその後の問題解決に繋がるということを確信しました。もちろんこれも一人でできるものではありません。一人だけが前向海外探検隊報告書鈴木眞子