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概要

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36今般の渡航で、私たちは様々なトラブルに見舞われました。往路便の欠航に始まり、莉奈のロストバゲージ、アクティビティ会社の休業、連日の吹雪、アルタ自治体による外出禁止など、トラブルの種類は多岐に渡ります。しかし、私たちノルウェー隊は、これら全ての困難を見事に乗り越え、3 月19 日に無事日本に帰国することができました。私たちは3 月12 日から19 日間の日程で、ノルウェーに渡航しました。この渡航で、なかでも最も困難だったことは、正しい情報を見極めることです。今日、グローバル化や情報産業が興隆し、「情報リテラシー」という言葉を耳にする機会も増えたことと思います。私も、大学入学以前から、何度もこの言葉を耳にし、正しい情報を見極める能力を養いなさい、と何度も言われました。しかし、いざ実際に自分が混乱した場に身をおくと、正しい情報というものが如何に曖昧で、手に入りにくいものかを知ることとなりました。コロナウイルスに関するノルウェーでの情報は、刻一刻と変化しました。ノルウェーでの情報の変遷を示すと、以下のようになります。まず、3 月10 日にノルウェー政府は、「継続的な感染拡大がみられる地域」から日本を除外し、日本に滞在していた人に対する入国規制を解除しました。この規制の解除をうけて、私たちノルウェー隊は渡航実施を決定しました。ところが、私たちがノルウェーに到着した3 月12 日に、ソールベルグ首相がノルウェー全土に対して、教育機関の閉鎖、ノルウェーに入国する全ての人に対して自宅待機を要請しました。この声明によって、私たちはノルウェー北極大学の見学ができず、またレストランでも1m以上の間隔を開けて食事をしました。その後、日に日にノルウェー政府の声明文は緊迫度を増し、ついに3 月16 日、寮での自宅待機 (Home Quarantine)をスタッフから言い渡されました。この日から、寮での待機生活が始まりました。一方、小松先生は滞在していたThon Hotel Alta にて、完全待機生活を強要されており、ホテルの廊下にさえ出ることが許されない状況でした。しかし、ここで事態は17 日に一変し、アルタ自治体と在ノルウェー日本国大使館の働きで、待機生活を送っていたアルタを出ることが可能になりました。以上が、ノルウェー入国から出国までの経緯です。私たちは今まで、教育現場やマスメディアなどから、頻繁に公的機関の声明を信用するように言われてきました。しかし、実際はその公的機関の声明でさえ、信憑性は乏しいのが現実です。決してそれらの情報が虚偽であると言っているのではありません。様々な情報が交錯して、どれが自分にとって必要な情報なのか判りにくくなっていたのです。事実、公的機関すなわちノルウェー政府、アルタ自治体、在ノルウェー日本大使館などの情報には、誤解を生む表現や誤り、情報の遅延、翻訳の不正確さが存在しました。今般の渡航において、最も適切であったと思える自分の行動は、現地のニュースをできるだけ現地時間で検索し、必ず英語で情報を追いかけたことです。また、度重なる様々なキャンセルや不明な点は、直接英語で電話をし、疑問を解決するように心がけました。現地の言語ではないにしても、世界中で話されている英語で検索したほうが、より新しい情報を手に入れることができるでしょう。また、情報がホームページ上で更新されるのをただ待つだけではなく、メンバーそれぞれが英語、日本語双方で直接連絡をとる努力をしたことは極めて適切な行為であったと思います。ノルウェーの一都市アルタを無事出ることができたのは、間違いなく4 人のメンバーがそれぞれ自分のできることを把握し、情報収集や日本側への支援要請、食事の準備などに尽力したおかげだと思います。誰も行ったことのないノルウェーという外国で、4 人が自立し励まし合いながら、待機生活を乗り越えることができたのは、このメンバーが揃ったからに違いありません。このような貴重な体験を、個性的で自立した3 人と共にするこ海外探検隊報告書湯本景子