海外探検隊 Vol.21
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この学部は、チャンタブリという場所にあり、主に海洋環境・生物について学ぶことができます。実習では、大学近くの農園や研究所を見学し、各施設での循環型社会を目指した取り組みを学習する機会もあります。 海ぶどうを用い、タイの学生たちと一緒に作ったソムタムというタイ料理のサラダです。 名前 友野帆乃香 友野帆乃香 ブラパ大学マリンテクノロジー学部での活動は、海や木々などの大自然を感じながら、そのような環境に配慮した取り組みを学ぶ機会が多いものでした。Namtok Phlio National Parkにおける滝や川での魚との触れ合い、ビーチの清掃活動など、この学部での実習は、単に様々な知識を習得していくのではなく、実際に自分たちが見学・体験することにより、学びを深めるといった点に重きを置いていると多々感じました。その中でも、特に、私は海ぶどうを用いた調理実習と、農園での食物の生産方法について学んだことが印象深く残っています。 まずは、海ぶどうを用いた調理実習について です。タイは、えび、牡蠣などの水産物の他に、生態系を守る役割を持つものとして、海藻の養殖に力を入れています。海藻は、人間の食物になるだけでなく、様々な魚の繁殖地として機能するため、天敵から狙われることなく安全に稚魚を産むことができる場所となっています。また、海藻はえびの養殖の際に過剰に発生してしまう栄養素を吸収する役割も持ち合わせていることから、海の水質を改善するものとしても重要視されています。今回の調理実習では、海藻がこのようなメリットを持ち、タイの生態系にとって必要不可欠であると学んだ後で、実際に海藻の一種である海ぶどうを使用したソムタムというサラダを作りました。サラダ作りでは、たくさんのタイの学生たちが手伝ってくれ、一緒に料理をしながら、ソムタムの特徴や味付けのポイントを知ることができました。食材についての勉強の後での料理は、普段よりも、食材の機能性やそれが持つ環境への還元性といった、おいしさ以外の部分に対する気づきを得ると共に、理解を深めながら料理や食事を楽しむことに繋がるのだと実感しました。 次は、農園での食物の生産方法についてです。この農園では、野菜や果物だけでなく、畜産や小魚の養殖も行っており、全ての生産方法において、植物や動物の働きを利用している点が特徴的だと感じました。例として、果物を育てる際に使用する肥料があります。この農園では、十分に育たず商品として出荷できない果物や野菜を炭化させたものを肥料として用いていました。化学肥料と異なり、土壌、作物、人体への影響も配慮された仕組みで生産できるため、循環型社会に貢献する方法として、関心を持ちました。実際に、その肥料を触ってみると、少し硬化しているものの、見た目は元々の果物や野菜の形と変わらないところも興味深いと思った点の一つでした。 以上のように、タイは自国の強みである産業をよりサステナブルな形で発展させており、活動を通して、日本とは異なるそれらの方法を学習できる貴重な経験を積むことができました。 13 ブラパ大学 マリンテクノロジー学部

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