海外探検隊 Vol.21
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<海洋環境科学科3年 南 薫仁> <8月3日> ブラパ大学研修 【本日のスケジュール】 午前:Kung Krabaen Bay Royal Development Study Centre訪問 【学びと気づき】 Kung Krabaen Bay Royal Development Study Centreを訪れた。そこは主に農業ゾーンと養殖ゾーンに分かれていた。農業ゾーンは農業での課題を解決するための試験場で、持続可能な資源利用に取り組んでいた。養鶏場での廃棄物を肥料として土壌に使用したり、狭い区画を四分割し魚の養殖、田、木、ニワトリというように様々な種類をその土地で最大限に利用したりと、私はそこから農業を営みながらも資源を無駄にしないという環境への最大限の配慮が感じられた。また、いらなくなったフルーツなどの作物を、チャコールという焼いて灰のようにして肥料にするといった実験的なことも行っていて、あまり私が学んできた分野ではなかったものの興味深かった。二毛作ならぬ三毛作をしている畑があり、キュウリ、ロングビーン、とうもろこしの順で回して育てていることを学んだ。ただどのくらいの周期で、どの季節にこれを育てるというのが決まっているのか尋ねると「オールシーズン」と言われた。つまり、三毛作はその前の作物を収穫したら次、というようにどんどんサイクルをまわすというのであった。私はあたかも日本と同じ感覚で尋ねたが、タイには日本のようなはっきりとした四季がなく季節によって育てる作物が変わるということがないのだと知り、改めて環境の違いで農業の感覚が異なっているのだなと感じた。また、その畑は数ヶ月ごとに育てている作物が変わり、害虫もその作物ごとに変わるため、害虫が大量に発生することがないというのは面白く感じた。 養殖ゾーンは主に食料としてカニや牡蠣、魚などを養殖しており、高い価値がつく魚をより安く一般的なものにする目的だということを学んだ。ただそこにはタイマイやアオウミガメといったウミガメ類、ヨシキリザメやトラフザメといった大型のサメもいて、その点が日本の一般の養殖場とは異なる点であると感じた。ウミガメ類は漁師たちが仕掛けた網などに誤って引っかかってしまい弱ってしまうので、それをその養殖場で保護観察を目的として養殖していることを学んだ。大型のサメはタイでは高級食材として売る目的で養殖していることを学んだ。大型のサメを食料として養殖していることにも驚いたのだが、それよりも傷ついたウミガメ類を保護するといった目的で養殖を行っているということが、今まで私は養殖=食料として考えていたので、非常に新しく感じた。養殖を行うことで海洋環境が変化し悪影響を与えてしまっている地域が日本にはあると学んだことがあるが、今回訪れたタイの養殖場のように、養殖を行うことが生物種の保護につながり、そこから海洋環境の改善につながるのではないかと考えた。 33

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