海外探検隊 Vol.21
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のみんなには改めて感謝の気持ちを伝えたい。 さらに今回の海外体験を通して一番学んだことは、常識や当たり前というものは世界には存在せず全て個人の価値観にしか過ぎないこと、そしてその価値観の違いを受け入れて尊重することが多様性であるということだ。私はタイでの生活において様々なカルチャーショックを受けて、ためらってしまったりこれは間違っているのではないかと感じてしまったりする場面が多々あった。しかしそれらもその環境で生まれ育ってきている人たちからすれば当たり前で、私がそのように感じてしまうのも所詮自身のエゴに基づいた価値観でしかないと学んだ。その人たち、その環境をありのままに受け入れること、これが非常に重要だと感じた。 もう一つ多様性という点で私が印象に残ったのはジェンダーについてである。タイではLGBTは一般的なものとして存在していることを聞いたことがあった。タイでは男女で用いる言語が若干異なっていることを学び、ではLGBTの人たちはどのように言語を用いるのか疑問に感じた。それをタイの学生に尋ねると自分が用いたい方の言語を用いるのだと知った。一見言語により男女がはっきりと区別されているように見えて、実際は個人の選択によるという点はタイの言語文化を重んじながらも今の多様性の時代に柔軟に対応していると感じた。さらにトイレに関しては、タイでは男女共同トイレが所々に存在した。男女でトイレが分かれていないというのがタイのジェンダーの多様性を促しており、自分が男性なのか、女性なのかと問われる場面が少ないというのは、その2つのカテゴリーに無理に当てはめるということをしなくてよいため、自身をありのままに表現することにつながっていくのだと感じた。私は海外探検隊でタイを訪れて、特にジェンダーの側面で人々が自由であることがタイという国の最大の長所であると感じたため、今後国が大きく変わっていくと思うが、そういった側面を失わないでほしいと感じた。 37 <海洋環境科学科3年 南 薫仁> <8月15日> 【本日のスケジュール】 移動日 【学びと気づき】 今回が私にとって最後の日報であるので私がタイで30日間過ごして学んだり考えたりしたことを書こうと思う。まず、この日報を書いている私の心境としては非常に寂しく、心に大きな穴が空いた気分だ。タイに来た最初の頃は慣れない環境やこれからの不安で日本が恋しかったり、あと何日で帰国だと指を折って数えたりする日もあった。ただ、今ではむしろ日本に帰りたくない気持ちが強くタイでもっと生活したいと思っている。これは環境に慣れてきたことや終わりが見えてきたからこその気持ちなど要因はたくさん挙げられるが、私は人との出会いが最大の要因であると考える。 バンセーンでもチャンタブリーでも私たちは多くの大人や同世代の学生に出会った。彼らは言語や文化が違うにもかかわらず、笑顔でいつも話しかけてくれたり、様々なことを教えてくれたりした。私が自分の英語力不足を痛感しながらも、懸命に言いたいことや尋ねたいことを伝えようとすると優しく耳を傾けてくれて、理解しようとしてくれた。現地の大学生と遊んだときは、まるで日本人の学生とやっているかと思うくらいテンションが合致して非常に楽しい時間を過ごした。私は交流を通して確かに言語や文化の壁はあり、その壁は簡単になくなるものではないと感じたが、心の壁は容易になくなりうるものであると感じた。お互いがお互いを受け入れようと試みることで言葉が異なったり文化が違っていたりしたとしても、思いは通じるし、わかり合うことができることを学んだ。また、人は出会いと別れの連続により成長するのだと感じた。だからこそ1つ1つの出会いは大切にしなければならないし、別れるときにその人に対して自然と感謝が生まれるような時間を過ごすよう努力しなければならないと考えた。今回の海外探検隊をとても有意義で、私を一回りも二回りも大きく成長させてくれたタイの大学生

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