海外探検隊 Vol.21
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Prime Aquacultureは、シンガポール有数の養殖ファームです。養殖場は少し離れた島にありますが、本部に研究室を構え、魚の健康管理やワクチン作りを行っています。 が求められることもわかりました。 また、この研修では研究者の方々と関わる機会も多くありました。一ヶ月間の研修を通し、自分は語学力のみならず食べ物や文化等新しい環境への適応力が足りないと感じることが多く、海外の厳しさを実感していました。そのことをお世話になった日本人研究者の方に相談すると、「最初は戸惑っても、必ず住んでいるうちに慣れていく。どんな道を選んでも、そこで最大限努力することが出来ればきっと大丈夫」という言葉をいただきました。このお話を機に、私も先生のように海外で活躍できる人を目指したいと改めて思うようになりました。 この研修では、将来生物系の研究に携わりたい私にとってとても重要な研究のエッセンスを教えていただきました。ここで得た貴重な経験を、これからの学びに活かしていきたいです。 6 研修初日に研究室の先生から企業や業務について説明を受けているところです。 島 彩乃 私たちは三日間、プライムアクアカルチャーのラボで研修をさせていただきました。食料自給率の低さが大きな課題となっているシンガポールではいかに限られた土地で多くの食糧を生産するかが鍵になっています。プライムアクアカルチャーでは、養殖場から飼育水や病魚のサンプルを本社のラボへと送り、病気の早期発見や予防を行っていました。 私が一番印象に残ったことは、「丁寧にするべきところはきちんとした方法で慎重に、その代わりに手際よく出来るように常に並行して計画的に実験を行うことが大切」という研究員の方の一言です。この研究室では、二人の研究員の方が飼育水の菌数のモニタリング・病魚の解剖・病魚がもつ病原菌の特定・ワクチン精製といった幅広い業務を行っており、特に私たちが研修をした際はお一人で全ての業務を行っていらっしゃいました。そのため、様々な効率化のための工夫がなされていました。例えば、様々な薬品を少量ずつ用いて行うPCRでは、サンプル数に応じた薬品の分量が予め表にまとめられており、それを見るだけで素早くサンプルを精製出来るようになっていました。また、電気泳動をかけている間に菌を培養するためのプレートを作ったり実験器具を滅菌したりと、同時並行で様々な作業をされており、計画性の重要さを身に染みて実感しました。 また、手際が良いだけでなく正確性も同時にとても大切にしていらっしゃいました。微生物を扱う実験では少しのコンタミネーションや分量の違いが実験結果に大きな影響を与えてしまいます。そのため、実験器具を準備する段階から徹底的に滅菌状態を維持していたり、ワクチン作りにおいて生じる微小な誤差を記録として残しておくなど、正確性を重視した丁寧な手技Prime Aquaculture 写真を挿入

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