水田貴久子 JETROは、日本企業の海外展開支援やスタートアップ支援などを行っている機関です。私たちはシンガポール事務所を訪れ、シンガポールの社会や経済の状況、日本との関わりについて話を聞きました。シンガポールの経済成長は目覚ましいもので、地価の高さや人件費の上昇などから、日本企業にとってシンガポールでビジネスを展開することが難しくなってきているそうです。また、ビザ・就労許可取得の困難さや煩雑さ、賃料の水準から駐在員を置くこともためらわれるようになってきています。一方でシンガポールはアジアで最大の対日投資国であり続け、日本の産業・経済における影響力は大きなものです。 JCCは在シンガポール日本国大使館のなかにある、ジャパン・クリエイティブ・センターというシンガポールにおいて日本文化に関する情報発信の拠点としてさまざまなイベントを実施している機関です。ちょうど私たちが訪れたときには、日本の風景を題材にした写真展のセレモニーが行われており、参加させていただきました。シンガポール人の方が日本を訪れ、思い思いに彼らの視点で日本らしい風景を収めた写真が展示されていました。私たちが日本にとどまり、日本を国内から見ているだけでは気付かないと感じさせるような景色がたくさん見られました。またセレモニー後は日本大使館で働く各省庁から出向してきた方々とお話ができ、シンガポールの実情や日本を出て外国で働くということについての難しさ、価値のある点などについて、お聞きすることができました。 JETRO・JCCともに、日本とシンガポールは経済面で密接に結びついていながらも、経済や教育の面で少しずつ引き離されているイメージ を持ちました。シンガポールは多国籍国家であJCCにて開催されたセレモニーでの一枚。 日本大使館の関係者の皆さんと最後に集合写真を撮りました。 JETRO(Japan External Trade Organization)独立行政法人日本貿易振興機構JCC (Japan Creative Center) シンガポールにおける日本文化発信拠点 りながら面積はとても小さな国で、日本と単純に比較することは難しいですが、課題に直面したときに日本と比べて一直線に解決を目指すような体制、姿勢があるように感じました。例えば、能力主義で教育制度を整え、激しい競争社会となったシンガポールでは、いわゆる“おもいやり”というような行動を推奨するキャンペーンを政府がおこなっていたそうです。また、中高生で学業や文化活動で好成績を残した人に賞金が贈られたりなど、課題解決や成績向上のために合理的で勢いのある方法を政府が積極的に行っている印象を持ちました。これは日本とは大きく違い、一か月の滞在を通して、シンガポール人の国民性が感じられる点だと思いました。またこれが経済成長を支えている一因ではないかとも感じました。 同じ日本人から見たシンガポールについての印象やそこで働くことの楽しさ、難しさを直接聞けたことでとても実りある研修となりました。 18 オリエンテーション(JETRO/JCC)
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