ブックタイトルkaigaitankentai_4
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グローバル化に求められる国際連携の戦略思考(学生メリットを優先した海外パートナー大学選び)小松 俊明A1. 経済社会の発展を牽引する人材は育ったか本稿では東京海洋大学が過去3 年間に進めた大学教育に関わる3 大改革を振り返り、この間に同時並行で戦略的に進めてきた一部の海外大学との戦略的な国際連携が大学改革に及ぼした影響、そして学生メリットは何であったのかについて考察を加えることとしたい。先日、文部科学省からグローバル人材育成推進事業の中間評価として、特色型(B タイプ)31 校のうち2校のみに与えられたS 評価を本学が頂くことができた。スーパーグローバル大学創成事業に落選した身としては溜飲が下がる思いであるが、そうした事業評価とは別次元で、本学のグローバル教育が「経済社会を牽引するに足る人材」を本当に育成できているのかどうかについて、ここでは現段階における自己評価を厳しく検証しておきたいと思う。1.1 改革1:TOEIC600 点を進級要件化した効果1.1.1 入学する学生に起きた変化について2014 年度、本学が初めてTOEIC600 点の進級要件化を適用する学年が入学した。入学直後TOEIC 点数平均は482 点となり、約10 年かけてなだらかに上昇した点数相当分を単年度で達成してしまった。これは明らかに英語力がワンランク上の学生達が集まった結果であり、TOEIC600 点の進級要件化という施策が、本学に入学する学生の性質を変えてしまった出来事であった。1.1.2 語学学習に明確な目標を設定英語学習を行う当事者の学生達からの継続的なフィードバックを聞く限り、確かなことは「語学学習に明確な目標を設定できていること」であり、学生達は以前に増して英語学習に真剣に向き合っている。具体的な数値目標を持つことが学内の共通認識として定着し、学生たちが低年次のうちにすでにTOEIC 600 点の進級要件をクリア(1 年終了時に42%の学生がTOEIC 600点を達成)していることは、本学の具体的な英語学習の成果であり、前向きな自己評価をしたい。------------------------------------------------A: 東京海洋大学1.1.3 英語をツールとみた発展学習本学にとって、TOEIC 600 点を全学生が達成するための継続的なサポート体制を充実させることが当面の最優先事項である。一方、すでにその目標をクリアした学生達のためには、より高いレベルの英語ディスカッション演習やディベート演習、そして英語学習カウンセラーを常駐したサポートをしている。1.2 改革2:学生を海外に継続的に送り出す仕組み次に、学生達にグローバルマインドを醸成し、グローバルに通用するスキルを身につけさせるための本学の取り組みについて紹介する。1.2.1 社会人ゲストでグローバルマインド醸成新入生を対象に「グローバルキャリア入門」という授業を用意している。この授業は、毎回グローバルに活躍する社会人ゲストを招き、学生のキャリア観、グローバルマインドの醸成を目指している。夜間授業でかつ自由選択科目であるにも関わらず、海洋科学部に入学する275 名のうち、半数を超える150 名以上が毎年履修し、本授業が人気講座に成長していることは評価できると考えている。本授業の履修者の英語学習意欲は高く、TOEIC 学習との相乗効果が生まれている。1.2.2 海外派遣キャリア演習の効果本学が独自に開発したアジア5カ国に年間40名を派遣する実習型授業「海外派遣キャリア演習」(通称、海外探検隊プログラム)は3 年目に入り、毎回50 組織(政府機関・企業)150 人以上の外部協力者の支援を頂き、幸いにも本学のグローバル化推進を象徴する大きなプログラムに育っている。詳しくは後述するが、本実習を開拓する課程で多くのアジアのトップ大学との国際連携を実現し、大学改革に貢献している。1.3 改革3:大学院授業の完全英語化の進捗海外から優秀な学生が多く集まる教育研究に優れた大学院を目指すには、大学院授業の完全英語化の達成が必須であると本学は考えており、大学院授業の英語化は鋭意進めている。現状は目標値を達成している。50東京海洋大学のグローバル教育