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概要

海外探検隊_6

3月7日から11日まで、香港大学の太古海洋科学研究所(SWIMS)で研究の体験をしました。私は、SWIMSの研究者のテレンスさんの研究のお手伝いをさせていただきました。研究内容は、岩礁に住む2種類の巻貝の温度と地面の温度を比べることで、地球温暖化で気温が上昇しているなかで巻貝がどこまで耐えられるのかというものです。SWIMSの近くにある海岸に行って、実際に2種類の巻貝の温度と地面の温度を、2種類の温度計を使って50個体ずつ測りました。温度を測ったあとは、そのデータをエクセルに打ち込み、グラフ化する作業をしました。今までは、研究者の活動を身近に見る機会はなかったため、今回本当に貴重な機会を頂きました。テレンスさんにお話を伺ったところ、24時間一睡もせずに巻貝が一時間ごとにどこに移動するのかを観察することもあるとおっしゃっていました。これを聞いて研究者という職業は、調べるものに対しての愛情がないと続けられないものだと深く思いました。また、私たちはフィールドワークで2か所のマングローブ林に行きました。今まで一度も行ったことがなかったため、とても嬉しかったです。一か所目は内湾、二か所目は外湾のマングローブ林です。内湾は都市化によってマングローブが伐採されてしまい、かなり小規模なものでした。それに比べて外湾は大規模でした。メジャーを使っていくつかの区画に分けて、さらにその中で四方の枠を置き、そこにいる生物種を数えました。外湾のほうが明らかに内湾より生物が多かったです。また、他の研究団体の活動にも参加させて頂くことが出来ました。ここでは、マングローブ周辺の泥を掘って、そこにいる生物を採取しました。たくさんの研究者の方々と交流出来てとても楽しかったです。マングローブを取り巻く環境が生態系にとって重要であることを学びました。この経験が環境問題を考えるきっかけとなりました。(井上 真衣)研究室研修:香港大学太古海洋科学研究所The Swire Institute of Marine Science(SWIMS)SWIMSでの活動は、大学院進学を目指している私にとって非常に興味深く、余すことなく吸収したくなるようなものでした。最初に、香港近海におけるサンゴを研究されている方に、研究内容を説明していただきました。その研究者の方は、元々はサンゴにとって恵まれた環境である暖かい地に生息するサンゴを研究されていたそうですが、香港近海にも珊瑚礁があると知り、厳しい環境下で生息するサンゴの生態についてもっと研究してみたくなり、SWIMSに移られたそうです。また、1つの研究からその先へ、常に新しいことを意識していると仰っていて、研究がいかに自主的で能動的な活動かを改めて知らされました。次に、カキの研究をしていらっしゃる方の手伝いをさせていただき、小さな作業の積み重ねの大切さを再確認しました。カキのサイズを測定し、それを焼いて抽出された物質を、更に分類することによってデータが得られます。焼くといっても高温で24時間以上一度焼いた後に、また更に高温で24時間焼き上げなければなりません。ひとつひとつの作業に多くの時間と手間がかかりますが、この作業なしにはデータは採集できません。ひとつの論文を書き上げるまでに正確なデータを得るための地道で手間を惜しまない作業がある事を、身をもって体験しました。細やかで手間のかかる作業を数多くこなしても、思うように結果が得られないことも多いと研究者の方々は仰っていました。SWIMSでの活動を通して、常に向上心を持って、結果が得られるか分からない状況下で、手間と時間のかかる細かな作業を数多くこなしていくことを苦とせず、毎日研究活動に打ち込むために必要なことは、研究対象に対する愛情ではないかと感じました。研究所の研究者の誰もが、研究対象に対して強い愛情を持って接していました。好きこそ物の上手なれという言葉がありますが、正しくこのことだと、強く感じました。(廿樂 花蓮)マングローブ林のフィールド調査12