ブックタイトル海外探検隊_7
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海外探検隊_7
企業研修:セルマックCermaq33セルマック(Cermaq)は世界トップレベルの技術と生産量を誇るサーモン養殖・加工会社であり、ノルウェー、カナダ、チリの3か国で事業を展開しています。そのサーモンは日本をはじめ、世界各国で食卓に上がっています。今回私たちは、オスロにある本社と、北極圏内のステイゲンという町にある、サーモンの養殖・加工施設を訪問しました。研修初日は、本社でセルマックの理念や事業内容などに関する詳細なプレゼンテーションをして頂きました。各部門責任者の方々から直接お話をうかがい、「最高のサーモン」生産にかける熱い想いに、私たちは圧倒されました。2日目にオスロを発ち、飛行機とフェリーを乗り継ぎステイゲンへと北上しました。3日目から最終日までは、この地域に点在するサーモンの養殖・加工施設を見学しました。サーモンが孵化し、成長し、加工され、出荷前の状態に至るまでの、あらゆる工程を見せていただきました。私たちが訪問したのは、淡水飼育施設、養殖いけす、加工場、そしてセルマックのビジネスパートナーであるAqua Genという会社です。ここでは、セルマックをはじめとするサーモン養殖会社に提供する遺伝子学的に優れた受精卵を生産していました。研修中は、「自分たちの目でこんなにも間近にサーモン養殖の現場を見られるなんて!」と、感動の連続でした。見学と同時に、スタッフの皆さんから詳細な説明もいただき、そして疑問に思ったことはその場で質問できるという、この上なく贅沢な時間でした。ステイゲンでの研修に関しては、本社でのプレゼンテーションで情報として聞いたことを、実際に自分の肌で感じたという表現がしっくりくるかもしれません。例えば本社で、「セルマックのスタッフは皆、責任感と自信、そして誇りをもって仕事をしている」と聞いており、ステイゲンに来てそのことを実感しました。皆さんと直接交流ができたわけではないのですが、働いている姿から、その言葉が自然と思い出されました。少数のスタッフで、質の高いサーモンを効率よく生産できるのは、各工程で機械化・自動化が進んでいるという理由もありますが、スタッフひとりひとりのモチベーションが高いという理由も大きいと感じました。また、セルマックが大切にする「fish-welfare(魚の福祉) 」という概念はとても興味深かったです。セルマックでは、魚が痛みやストレスを感じることなく健康に成長できるよう、飼育施設や養殖場の環境に細心の注意をはらっていました。fish-welfareに配慮した環境整備にはコストがかかりますが、健康な魚は病気にかからず、そして商品としての質・価値も高いので、結果的に利潤を増やすのだそうです。fish-welfareという概念の根底にあるのは主に倫理的な問題だと考えていた私にとって、その発想は新鮮でした。また、研修中は天気に恵まれ、広い海、空、そしてそこに広がる夕焼けやオーロラの景色に何度も心を動かされました。ノルウェーの大自然に抱かれて、かけがえのない、けれども言葉にできない何かを、チームの皆が感じていたのではないかと思います。おわりに、このような素晴らしい学びの機会をいただけたことに、心より感謝申し上げます。(坂野 加奈)